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たくさんの魅力を1ページに凝縮。これがデジタル漫画制作の現場だ!【第1回】

投稿日:2018-03-01 更新日:

時々「漫画ってどう描いてるの?」「デジタルで描くってどういうこと?」との質問をいただくことがあります。デジタル作画が主流になってきた現在でも、まだまだ多くの方にとって漫画家=「Gペン」「スクリーントーン」「原稿用紙」「インク」「ベタ」のようなイメージのようです。

「デジタル、パソコンで漫画を描く」と言われてもピンと来ない…いやいや、是非新しい世界を知っていただきたい!そこで、この3月は全4回に分けてデジタル漫画の制作工程をたっぷりご紹介していきたいと思います。

どうぞお付き合いくださいませ。

今回ご協力いただくのは「Tarou's House」様

東郷駅から徒歩4分、まるでおばあちゃん家に帰ってきたかのような居心地の良さが魅力の一軒家貸切型ゲストハウス「Tarou’s House」。そのオーナーさんにご協力いただいて、ゲストハウスの魅力を詰め込んだ漫画の制作工程をお見せいたします。

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ご協力くださった「Tarou's House」のオーナー様にはこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

【工程1】ネーム作り

さていよいよ本題に入ります。漫画づくりはまず「ネーム」を作成するところから始まります。

「ネーム」とは、頭の中のイメージを紙に簡単に描き起こした、漫画の元になる「設計図」のことです。「こんな風に表現したいな」「こんなコマ割りでいきたいな」「こんなセリフを言わせたい」…等々、クライアント様との間で仕上がりのイメージを共有するための「たたき台」になります。

今回は『Tarou's Houseの魅力を一枚に収める』というテーマ。さて、どんな漫画にしようか…と考え、次のネームをご提案しました。

※ネームの様式は場合によって変わります。今回は紙に鉛筆で描きあげました。

キーワードは「みんなで泊まれる、共同生活できる」「観光できる(ガイドつき!)」「やまつばさ温泉」。このキーワードを全て漫画に詰め込むことを考えた際、「あ、これは不要かもしれない」と思ったものがあります。

何だと思いますか?

 

 

 

答えは・・・

セリフとストーリーです。

どの漫画にも不可欠な「セリフ」と「ストーリー」ですが、今回のように魅力的なシーンをたくさん見せたい場合には邪魔になることがあります。吹き出しがキャラクターや背景を隠してしまうのと、セリフやストーリーがあるとそのコマの前後の流れを描かないといけなくなるからです。

例えば温泉のコマの場合を例に挙げると、普通のストーリー漫画では「温泉に行こうか」というセリフや、温泉施設の詳細背景を描いたコマを描いた上でないと「温泉でくつろいでいる女性のコマ」は描けません。「なんで急に温泉に入ってるん!?」という流れになるからです。

この「なんで急にこのシーン?」という違和感を感じさせることなく、複数のアピールポイントを訴える漫画を作るために、すぱっとセリフとストーリーをなくし、フラッシュバック風に「魅力的な部分」だけを前面に出す。この方法でご提案することにしました。間のコマには、オーナーさんに教えていただいたことも所々詰め込んでいます。海外のお客様が主とのことでしたので、日本に来たらしたいこと、ゲストハウスでしたいことがくすぐられるような漫画を目指します。

 

もちろん、ご依頼内容によって全く違う手法をとったり、ひとつひとつを掘り下げたストーリー漫画に仕立てることも可能です。紙面の制限や伝えたいアピールポイントの数、内容によって、漫画の形式や見せ方は様々です。ネームを見て違和感を感じた場合はすぐご相談ください。クライアント様と司馬との間でイメージを共有して固めるための「たたき台」ですので、この段階での修正・打ち合わせは非常に重要です。

 

オーナー様からGOサインをいただくことができたら、次の段階に移行します。

【工程2】ここからやっとパソコンフル稼働。ネームのデジタル化と下準備

ぜんぜんデジタルじゃないじゃん。むしろ超アナログじゃん。

と突っ込みのお言葉が聞こえてきそうですが、お待たせしました!ここからフル稼働です。

※使用しているソフトは「CLIP STUDIO PAINT EX」。使い続けて5年、非常に使いやすく万能なデジタル漫画制作ソフトです。

スキャナーや写メからのデータをパソコンに入れて、画像のようにデジタル化します。
さて、ここから…

 

少し不透明度を下げ、うっすらネームが見える状態にします。

 

ここからは個人の好みになっていきますが、私の場合はまずコマ枠線をひきます。デジタルは修正しやすいところが最大の特徴。枠線も後から修正できるので、ここは大まかに引きます。

ここまできたら下準備はほぼ完了です。本番はここからです。

 

【工程3】いよいよ下描きです

えっ、下描き?と思われるかもしれません。でも、ネームの線はあくまで下描きの下描きです。ネームではキャラクターの頭がつるつるだったり、部屋もざっくりだったりと、絵としてはかなり大まかです。そこで清書するための「下描き」が必要になってきます。青で描いているのは個人の好み。仕上げ線が黒なので、黒でない色で描きます。

 

↑使用しているのは直に描ける液晶タブレット。購入当時はこれだけでも最新技術に震えたものです。
話は逸れますが、つい昨年iPad Proでもこの漫画制作ソフトを使えるようになり、漫画業界に激震が走りました。とうとう寝っころがりながらでも漫画が描けるようになったからです(他にも持ち運びできる液晶タブレットはあったのですが、iPadが安く見えるくらいに高価)

 

デジタル作画のすばらしい所は「修正が楽」、これにつきます。ペンだと一から書き直しな修正も、デジタルならぐるっと囲って選択、拡大縮小も思いのまま。上の画像は頭が少し大きかったので縮小しているところです。

 

次は背景に進みます。
背景と人物を区別するのに色を変えることがあります。今回はオレンジにしました。

資料の写真を見ながら描き進めていきます。

青い線とオレンジの線は、それぞれ別のレイヤー(透明な画用紙のようなもの)に描いています。
デジタル作画はこの「レイヤー」を何枚も何枚も重ねたもの。ですので、例えば別のレイヤーの線を消しても他のレイヤーの線は消えません。ここでは青とオレンジの線がかぶってしまっているように見えますが、それぞれ別レイヤーですのでお互いに干渉することはありません(わざと干渉させることもできます)

 

一コマ目の下描きが終わりました。先に人物だけOR背景だけまとめて描く場合もありますが、大体このような流れで下描きを進めていきます。これをコマの数だけこなしていきます。

 

長くなったので第一回目はここまで!
次週は残りのコマの下描きを終わらせた状態からスタートです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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